市民塾7月例会報告新しい視聴覚素材にみる44年前の公害 

DSCF2671

今回の例会では先日三重大学を会場に行われた「日本環境学会若手交流会」の席上発表されたパワーポイントの紹介がありました。150コマにのぼる力作であり、大人向けの素材になっていますが、様々な資料を駆使して多角的な提示がされています。その中の1枚「昭和42年 住民[問診及び医学的検査]による・・・・・・・の有償(症?)状況」があります。「気管支喘息」「慢性気管支炎」「閉鎖性障害者」の住民数をグラフにしたものですが、トータルで1373名となります。そのうちの361名(約20%)が塩浜地区ですから第1コンビナートとの関連があきらかです。この年は2年前に四日市市独自の認定制度が発足しており認定患者は484名。多くの患者が未認定の状態ですが、9月に塩浜(磯津)地区の患者9名が提訴にいたるわけです。5年後に判決が出され、1988(昭和63)には認定制度解除。それから23年、果たして被害の現実は?。判決40周年を来年に控え行政の姿勢に注目したいと思います。

 四日市公害写真展はじまる

DSCF2677

今や恒例となった環境学習センター主催「公害写真展」が同センター展示コーナーではじまりました。被害・裁判・運動などの側面から澤井さんの写真を中心にしての展示。今回は新しく田尻宗昭さん(当時海上保安部)の制帽姿(TV画面から拝借)が掲示されています。若々しくきりっとした田尻さんをご覧ください。夏休みに入り小中学生が宿題対策も兼ねて多数訪れます。7月29日・8月6日は市民塾メンバーが解説をつとめます。8月下旬まで開催。

 

   7月24日「四日市公害訴訟判決39周年・市民集会」。午後1時30分。四日市市本町プラザ

第5回「四日市公害訴訟をめぐって」 報告者阪倉芳一

5月23日(月)18:30~なやプラザにて

2011_05_05slide43thumb_2011_05_05slide42 四日市公害訴訟では何が争われたのかを明らかにしながら、四日市公害訴訟を陰ながら支えて活躍した「四日市公害とたたかう市民兵の会」に焦点をあてて報告します。
 「市民兵の会」のメンバー構成は、とても興味深いものがあります。「公害の被害を受けた人たちがその被害を取り除くために、もっと苦労するのはおかしい」と志ある人たちが集まり、患者さんたちを支える活動を繰り広げました。公害反対を訴えるミニコミ誌「公害トマレ」を発行し、患者さんのもとに届けたり、裁判の内容をわかりやすく解説したり、公害市民学校を開催したりなど、多岐にわたって活動しました。
 なにより、公害による直接の「被害者ではない人たち(コンビナート労働者、教師、学生など)」が中心となって活躍したことは、反公害の運動の中で、特筆すべきことだと思います。
 澤井余志郎さんが記録してきた資料と写真、患者さんの生の声(録音テープ)なども紹介しながら、澤井さんの生きざまについても触れていきます。

武漢テレビ 四日市を撮る・・・・・。 (3/30)

中国の武漢テレビが四日市に取材に来ました。その様子を澤井余志郎さんから報告してもらいました。
◎ 中国出身で名古屋市在住の女性ライター欧陽さんの『感受日本-わかりあえるか中国人と日本人』が出版された。この本は2年前に中国語で書き故郷の武漢市で出版されたもので、武漢テレビ局はこれを機に武漢出身の欧陽さんを通してみた日本の文化や社会を紹介するドキュメンタリー番組を企画。3月24日から4月14日まで滞在、欧陽さんに関わりのある中国人、日本人及び各種団体、生活周辺を取材。番組は一回10分間の12回シリーズ。夜20時のタイムで放送される。武漢テレビの視聴範囲は武漢市と周辺の総人口2千万人超。

CIMG2676

◎ 3月30日、一行は欧陽さん、武漢テレビスタッフ3名と名大に留学中の中国人学生2名(通訳補助)と、新幹線公害訴訟の一人の計7名。四日市市環境学習センターで澤井が迎え「公害学習室」で四日市公害の概況について語りべのあと、塩浜小学校を鈴鹿川南堤防から望み、磯津で第1コンビナートについての説明をした。中国の公害についてどう思うかと問われたので「手遅れにならないうちに有効な公害防除対策をしてほしい」と答えておいた。

     原発不要の生活めざして・2011_0121_153133-DSCF2147・・・・・。
東日本大震災による福島原発の惨状を思うにつけ、さわやかであるべき五月の空も重苦しいものがあります。加えて昨日今日と「黄砂」に覆われ実にスッキリしません。
さて、ここにきて企業としての東京電力の実態が次々と暴かれていますが、私たちの住む三重県は中部電力の圏内で、静岡県御前崎市に浜岡原発5基があります。1・2号機は廃炉予定、3号機は点検中で休止状態。4・5号機が運転中です。従って中電の総発電量に占める原発の割合は15㌫程度(年によってもっと少ない)です。電力会社総体の30%の中でかなり低い数値ですが、この浜岡原発が立地的にいかに危険な存在であるかは誰もが認めるところです。
中電の70%は火力(おもにLNG)で三重県に三か所あります。尾鷲(三田)・四日市・川越[写真]ですが中でも川越は108万㎡の海面を埋め立てて設置されました。1・2号機、3・4号系列合わせて総出力480万2千KWという世界でもトップクラスの火力発電所です。燃料はLNG(液化天然ガス)であり「ばいじんや硫黄酸化物の発生がなく、とてもクリーン」と社報でうたっています。中電はかつて「四日市公害裁判」の被告六社の一つとして大気汚染の責任を問われただけに、重油からの転換をはかったともいえます。津波・地震対策はどれだけ保証されているかわかりませんが、放射能の恐怖からは逃れられます。
この中電があろうことか休止中の浜岡3号機の再開を「7月めどに」と発表(28日)したのは皆さんご存じでしょう。各地で「STOP浜岡」の叫ばれる中なんという無神経で傲慢なことか。反響の多さにあわてて「決定ではない」とか言いつくろっていますが信用できません。三重県の新知事は今のところ「原発新立地は議論の余地なし」と言っていますが、浜岡への言及はされていません。芦浜原発計画を撤廃させた三重県としては「原発不要の生活」を目指す先頭に立ちたいものです。名古屋では8日に「ぱれーど」があります。

亜硫酸ガス(二酸化硫黄)がぜんそくの原因

原告患者側は、煤煙が磯津に到達するということを証明するとともに、亜硫酸ガスがぜんそくの原因であることも証明する必要があった。
被告側企業は、「ぜんそくの原因は、たばこの吸いすぎではないか、菜種の花粉が原因ではないか」などと揺さぶりをかけてきていた。原告側は、経験的に煤煙のせいであるというだけでは、裁判に勝つことができないため、科学的に証明しなければならなかった。科学裁判といわれる所以だが、そのために、患者たちの生の声や苦しい生活状況は見えにくくなっていった。

裁判でのやりとりから

slide30吉田克己教授 slide31大島秀彦助教授