市民塾通信『こちら市民塾』 №56(6月18日)
「草も木もみんな泣きよります。」
この見出しは朝日新聞から借用させていただきました。水俣の原田正純さんが亡くなって今日で一週間。初七日ということになるのでしょうか。新聞・雑誌あるいはネットにもいろんな追悼記事が掲載されていますが、なかなか「市民塾」独自の言葉も浮かばぬまま過ぎていましたが今日の朝日新聞で石牟礼道子さんの追悼文に出会いました。誠に失礼とは存じながらその冒頭の部分を引用させていただき、哀悼の意を捧げたいと思います。
---熊本の天草にいる友人が、原田正純先生の訃報を知って、深いため息とともにつぶやいたという。 「……草も木も、みんな泣きよる……」 私も泣きたくなる。これから先どうして生きてゆこう。人見知りの強い私が、水俣のことをご相談するのは、限られた患者さんたちと、人の生くべき道を身をもって示して下さった原田正純先生だった。なによりもあの笑顔。今や50代半ばになった胎児性患者たちが幼児の頃、村の公民館で熊本大の先生方による検診を度々受けていた。村々では井戸が消毒され、猫が海に飛び込んで全滅するなど異常が続き、検診会場にも困惑した気配がただよっていた。その中で、子供たちが一人の青年医師の白衣にすがりついて甘えているのをしばしば見つけた。この方が後に、胎児性患者の存在を立証された原田先生だった。---
 石牟礼さんの体調も万全ではないとの報も聞こえてきます。ご息災をお祈りするばかりです。