公害裁判をおこしたから、患者たちが勝訴したから、四日市公害は改善されてきた。裁判がなかったら、負けていたら、四日市の人たちだけでなく、全国(41の公害認定地区)の人たちも、もっともっと長い間、ひどい苦しみにあわされていた。
裁判のおかげで、公害は改善されてきた。現在約450人の公害病の認定患者が病を背負って生活している。これからは、公害の過ちを繰り返さない、その教訓を学ぶことが大事だと、市民塾のメンバーで語り部をしている。

  「明日を紡ぐ」シリーズ 澤井氏が語る自分史

 

 

四日市公害を語り継く

エコピースより 今年の7月24日で「四日市公害訴訟」判決の日から40年を経過します。

 学校の教科書にも掲載され、「四大公害(訴訟)」ともいわれる大きな出来事です。石油化学コンビナートの排煙が大気を汚染し呼吸器疾患を患う多くの患者が発生し、関連企業六社が発生源として裁かれました。その裁判のお陰で四日市の環境はずいぶん改善されました。

 しかし、こうした歴史上の大問題が時間の経過とともに人々の記憶から遠ざかっていきます。「そんなことは遠い昔のことだ」とか「もう青空が戻ったからいいんじやない」とか「今さら騒ぎ立てるな」といった意見がでてきます。けれども歴史を消し去ることはできませんし、事実を事実として伝えていかない限り再び同じようなあやまちを繰り返してしまいます。

 こうした意味を考えながら、私たち「市民塾」は平成9年に発足し、以来、「四日市公害」問題を伝承するために「語り部」活動と、資料の整理・保存作業を続けています。

 特に「語り部」活動は、四日市市のみでなく市外・県外の児童・生徒にも人権学習・環境学習として語り継いでいます。10年前は年間9回でしたが、22年度は40回以上の依頼があり年々忙しくなってきました。大部分は小学5年生対象ですが、中学生・大学生からの依頼も増えてきました。
 公害資料につきましては(四日市市が「資料館」設置を明言してくれていますので、今後は、その整理作業に忙しくなりそうです。保存のためのデータ化なども必要となり、行政とタイアップしながら進めていきたいと思います。

 「市民塾は」毎月例会を第4月曜日に開催しています。午後6時30分から、蔵町の「なや学習プラザ」が会場です。誰でも自由にご参加いただけます。意見交換をしながらこうした作業にも加わっていただける方大歓迎です。