「四日市市新総合計画 第2次素案」に対する意見

平成22年11月1日
澤井余志郎(四日市再生「公害市民塾」)

四日市公害資料館の設置について

 いわゆる「4大公害裁判」の中で「公害資料館のないのは四日市だけ」と言われてもう随分長い時間が経ちます。たしかに県内では唯一の四日市市環境学習センターが設置されており、これは何よりも四日市公害を経験した歴史の上に存在しているわけで、行政も幾ばくかの責任を果たしてきたといえましょう。しかしながら、現状はスペースとしても資料内容にしても決して満足できるものではありません。
 今搬出された「四日市市新総合計画」には第1次・2次にわたって「公害に関する資料館の整備を推進」と表記されています。また田中市長ご自身も記者会見(10/6)の席で、記者の質問に対して「公害環境学習館のような位置づけで、40周年をめどには何とかしたいと思っている」と答えてみえます。歴代の市長各位に比べて、その前向きな姿勢と具体的に日程を明示された点において、大いに評価できるところです。
 しかし、あと2年足らずしかありません。具体的に「既存施設の活用」とした場合、どの施設を使用するのか。内部の配置は、運営方法は、資料の整理は等々、課題は山積しています。何より予算の設定もしていかなければなりません。さらに市長個人のみならず議会および行政全体の意思一致もみなければなりません。
 私たち四日市再生「公害市民塾」は澤井所蔵のものを中心に公害資料の整理を続けています。まだまだ他に発掘の可能性は含まれています。ぜひ市民に広く呼びかけ認識を深めていただきたいと思います。また今なお疾患に苦しむ公害患者が459名存在することも忘れてはなりません。小学校での公害学習は地道ながら深まり広がっています。行政・市民・企業そして患者(被害者)が一体となって集い学習し交流しながら、全国に発信していく空間としての機能が不可欠です。そのためにも単に学習にとどまらず患者さんが憩いの場として過ごせる保養所的な施設もぜひ併設していただきたいと願っています。「公害を克服する」の真の意味はそこにあると思います。
 私たちは、ただ要求するのみでなく具体的な作業や今後の運営について協力体制をとるべき責任も感じています。四日市市が真に「青空を取り戻す」のは、単なるデータ上の問題だけでなく、そこに至る過程が重要です。どうか一刻も早く具体的な作業に入っていただきたいと思います。「40周年」は再来年(2012年)です。