四日市市総合計画 第1時素案に対する意見提出用紙
澤井余志郎
(意見)全体を通して 特に水(海)辺・親水空間再生についてと、公害・環境問題について
四日市は、伊勢湾に面した海辺のまちです。海辺は、四日市市民にとって、あるいは、四日市市を訪れる人々にとっても、自然に接する快適空間です。
そうして水(海)辺空間があるのだろうか。素案の中に、港と、貴重な水辺の観光・歴史的遺産として2回も、末広橋と潮吹き防波堤(コスモ石油埋め立て防波堤)が挙げられています。それだけですか。気軽に見られるところではありません。
そうした遺産は貴重なものですが、遺産は遺産として、現に存在する自然な海辺で、市民の老若男女が水辺空間に親しむことができることこそ、今様の快適環境空間都市なのではないでしょうか。
コンビナート都市としての川崎と四日市は共に、海岸は、工場と港に占領され、砂浜はコンクリートで固められ、市民の憩いの水辺空間がないといわれています。ところが、川崎で、海辺の砂浜で市民が買い拾いや、海水と戯れているテレビ放送を見ました。「川崎は四日市より一足先によみがえった、自然環境を取り戻した」たとえ小規模の自然再生であり、うらやましく眺めました。四日市では、コンビナート工場が来れば市は発展するとして、産業育成を、将来のことを考慮することなく、牛起・霞ヶ浦海岸、海辺をなくしてしまいました。四日市はそのために発展したという事ですが、磯津猟師町の子どもが、泳ぎを覚えるためにスイミングスクールのバスに迎えに来てもらい、人口のプールで泳ぎを覚える、これが海辺をなくし市が発展した証しだとしたら、これほど淋しい、非文明なことはないと思います。
こうした観点が第1時素案からは読み取れないのを淋しく思います。
公害都市四日市をよみがえらせるのは、水(海)辺空間再生がなんとしても必要です。公害四日市のイメージ解消・払拭を考えるのならば、文言・記述ではなく、あるいは、見えない、匂わない、つかめない(イメージ)ではなく、見える、遊べる水辺の再生こそが必要です。
それと同時に、体験、見える、聞こえる、公害改善の歴史を「知る」ための公害学習資料館を、公害は人権問題でもあり人権学習資料館と、環境教育資料館の併設も、公害イメージ解消にとって必要な施設であり、まずは3年の計画に盛り込んでの具体化をぜひ実現してください。
テーマ3:多様な主体の連携による環境都市への連帯 リーディングプロジェクト(環境学習の充実に向けた取り組み)に関する意見
「公害都市」といわれる四日市市において十年以上にわたって公害問題に取り組んでまいりました四日市再生「公害市民塾」の一員として、意見を述べさせていただきます。
田中市長ご就任以来、市からの委託を受け四日市公害にかかわる写真のデジタル化に努め、昨年末に1500枚の保存を終えました。さらに現在も続行中で800枚にも及びそうです。子の写真は昨年度「環境学習センター写真展」「環境フォーラム」「人権パネル展」等に展示し好評を得ることができました。今後も活用が期待されています。
さらに、「市民塾」として重要な柱とする「語り部」活動も、主として小学生を対象に昨年度で約50回を数えるに至りました。この活動は三重県からも「みえ環境活動賞」というかたちで高い評価をいただきました。
さて、現在私たちは市人権センターの一角をお借りしまして、「四日市公害資料」保存のための整理にとりかかっています。主として澤井所蔵の資料が大部分ですが、この他にも弁護団事務所や裁判所に貴重な資料が残っています。これらは大気汚染公害を対象とした裁判資料として重要かつ貴重な数々です。
「四大公害」と称せられる各地(新潟・水俣・富山)には保存・学習のための施設が設置されていますが、四日市の残存資料はその質と重要度において他にひけをとるものではありません。これらを一箇所で集中管理をして保存し、されに公開・学習に役立てていく必要があります。そのための施設としての「公害資料館」が絶対に必要なのです。
さいわい、このたび出された「四日市市新総合計画第一次素案」の中に「公害資料館の整備を推進する」と提案されています。誠にありがたく思っています。現在環境学習センター内の公害資料室は職員の努力によって改善されつつありますが、いかにも手狭でありますし、私たちの確認できている資料だけでも収納できる状況ではありません。
四日市公害判決から38年。環境改善の取り組みを評価しつつも、歴史は歴史として学び後世に伝えていくことこそが「みんなが誇りを持てるまち」を作り上げていきます。
独立館とするか既存施設の拡充をはかるかは今後の検討課題ですが、散逸や劣化を防ぐためにも急がなければなりません。「市民塾」としましては、資料の提供や作業など協力を惜しみません。一刻も早い具体化をお願いして意見とさせていただきます。